「〈物語〉シリーズ」　安定したアバンギャルド

　いきなり硬い話だが、現在の日本の商業アニメは基本的に「リアル志向」である。

あんなに目が大きな美少女キャラが出てきてリアルなの？　巨大ロボットが活躍するような作品がリアルなの？
と突っ込まれそうだが、そういう意味ではない。表現についての話だ。

空間と時間、登場人物の芝居などを現実的なものとして描き出し「これはこの劇中で本当に起きていることなんですよ」と提示するのが、日本のアニメの作り方なのだ。視聴者はそれが画（え）で作られたフィクションであることを承知しながら「劇中で本当に起きていること」として見る。

かつて海外のアニメによくあったような、キャラクターが高いところから落ちるとそのかたちのままに地面に穴が空くとか、壁にぶつかるとペシャンコになって元に戻るとか、そういった表現は、今の日本ではギャグアニメでもめったにお目にかかれない。そんな描写があったら、キャラクターが「劇中に本当にいる」とは思えなくなってしまう。

クオリティーが高いとされる作品ほど、リアル志向が強い。スタジオジブリの作品を例に挙げると分かりやすいだろう
写真と見まごうほど緻密に描き込まれた背景、奥行きのある空間の中で物理法則にのっとった芝居をするキャラクター
それがアニメにとっての絶対の価値ではないはずだが「見応えのあるアニメ＝リアルなアニメ」という図式は確実にある。

そんな日本のアニメ界にあって、リアルとは逆の方向に突っ走っているのが、鬼才・新房昭之監督と制作会社シャフトである

彼らが手がける作品はアバンギャルド（前衛的）だ。画面の作りは平面的で、カット割りのリズム、色彩で視聴者を惹（ひ）きつける。文字のみのカットを大量に挿入し、実物の写真を使うのもいとわない。さっきまでシリアスタッチで描かれていたキャラクターが、突然、ギャグマンガ調になるといった変化球の表現をセンスよく、スタイリッシュにやってみせる

　表現の追求とエンターテインメントを両立させている点が何より素晴らしい。新房監督＆シャフトのカラーがもっとも色濃く出ているのが、西尾維新の人気小説を映像化した『〈物語〉シリーズ』である。

登場人物たちが交わす掛け合いが人気を博している原作を、膨大な量のセリフを生かしつつ、独自のスタイルで映像化してみせた。特に第１作『化（ばけ）物語』は次にどんな奇抜な表現が飛び出すのかわからないところが独特の緊張感を生んだが、以降は、キャラクターの魅力と表現がほどよくマッチ。昨年放映された「セカンドシーズン」は「安定したアバンギャルド」とも言うべき、不思議な味わいの作品となっている。

　『〈物語〉シリーズ』は、若者向けの深夜アニメではあるが、大人も楽しめるタイトルである。興味を持たれた方は、第１作『化物語』からどうぞ。

http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/140226/ent14022609300003-n1.htm

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　　　　./　「　　　 　 　 　 　 　 　 |.!　　　　 ／　　　　 　 ＼　物語シリーズ紹介するのもいいけどさ
　 　 _/　 i.|　　　　　　　　　　　　 |.!　　　／　─　　 ─　　 ＼　いい加減傷物語の続報だせよ・・・
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