消えた若者恋愛ドラマ…携帯普及「すれ違い消滅」

話題作でも視聴率伸びず

４月から始まったプライムタイム（午後７～１１時）の民放連続ドラマで、唯一の恋愛もの「続・最後から二番目の恋」（フジ系・木曜後１０・００）のターゲットは中高年層だ。

　若者向けのラブストーリーが消えたのは、「若者の恋愛ドラマ離れ」の表れなのか？　
かつて「トレンディードラマ」で一世を風靡ふうびしたフジテレビの関係者に、「恋愛ドラマの今」を聞いた。

　「テレビ全体として、若い作り手たちが恋愛ドラマに興味をなくしているのかな」。
４月下旬の定例記者会見で、亀山千広社長は恋愛ドラマが下火になりつつある現状を認めた。

　その理由に挙げたのは「すれ違いの消滅」。携帯電話の普及で、若者は毎日のようにメールで行動を伝え合い
待ち合わせですれ違うことも少なくなった。「すれ違いがないと、恋愛ドラマは作りづらい」というのだ。

　「若者の恋愛ドラマ離れ」は視聴率にも表れている。１～３月期、同局の「失恋ショコラティエ」は松本潤と石原さとみの過激な恋愛シーンが話題を呼んだにもかかわらず、最高で１４・４％。同局の若松央樹・ドラマ企画担当部長は「ラブストーリーがどんどん減ったのは、意外と数字を取らないから」と説明する。かつて恋愛ドラマの代名詞だった「月９」も、今期は裏社会を描く「極悪がんぼ」に取って代わられた。

　若者は恋愛ドラマを見なくなったのか。
若松担当部長は「恋愛ドラマは、たとえば１１週連続などの続き物になる。そういう視聴習慣が若者に合わなくなってきているのかもしれない」と分析する

一方で、「同じ恋愛ものでも、好調な映画もある。恋愛そのものはいつの世も普遍的で、需要がなくなることはないのでは」。

　今期唯一の恋愛ドラマ「続・最後から二番目の恋」は千明（小泉今日子）と和平（中井貴一）、計１００歳ペアの「大人の青春」を描いた続編。視聴者層はトレンディードラマ全盛期の視聴習慣が残っているとみられる３５～４９歳の女性が中心だが、意外にも１０歳代の男女も多いことを示すデータがあるという。

　「かつて若い人が『金曜日の妻たちへ』を背伸びして見たように、このドラマも親と子が一緒に見てくれているのかも。『若者向け』などと世代を意識して作らなくても、面白ければ見てもらえる、ということかもしれない」と手応えを感じている。

　今後、恋愛ドラマはどうなるのか。若松担当部長は「私見」と前置きし
「若者の視聴習慣が変わり、１０週も見続けるのが難しいというのであれば、内容によっては１クール（３か月）より短い３週４週としたり、反対に大河ドラマのように長期間放送したりと、枠の見直しが求められるかもしれない」
とみる。

　「月９」枠の扱いについても、今後は恋愛ドラマに限らず、その時々の目玉作品を投入。
「全体として、バリエーションに富んだドラマ作品を提供していく」と語る。（鶴田裕介）

http://www.yomiuri.co.jp/culture/tv/tnews/20140519-OYT8T50161.html